目次
吸引とは
吸引とは、器機を使用して鼻腔、口腔、咽頭、喉頭、気管内などに溜まった唾液・痰・鼻汁などの排泄物を吸い出して取り除くことであるとされています。
そもそも痰は何でできているの?
気道クリアランスの結果で生み出されるもので、気道内に入った異物が気道粘膜に取り込まれて、そして気道外に出てきたものが私たちの良く言う『痰』になります。
サンジ
気道クリアランスには
1,嚥下や咳嗽などにより異物を気道外へ出してくれる作用
2,気道内に入った異物を繊毛運動によって体外へ輸送する作用
3,気道粘膜により異物をまとめる作用
があります!
痰を取らないとどうなるのか
たんが貯留していくと・・・
細菌の温床となり肺炎に! 気道閉塞により窒息に! 気管支閉塞により無気肺に! 窒息と無気肺が重なりガス交換障害に!
などの合併症のリスクが高まってしまいます。。。
吸引前の準備
- 手指消毒(患者に触る前など5つのタイミングを忘れない)
- 呼吸の観察(視診、触診、聴診)
- 吸引圧の確認
- 自己の感染対策(フェイスガードやエプロンなど)
サンジ
吸引圧の確認は、吸引チューブの根元を指で押さえるように折ってみると、シューーという吸っている音が無くなるからわかりやすいよ!
吸引の手順
必要物品(口腔・鼻腔吸引、気管吸引)
- 吸引器
- ビニールエプロン
- ディスポ手袋
- ゴーグル
- ゴミ箱(袋でも可)
- 吸引カテーテル(口腔・鼻腔吸引)
- 滅菌カテーテル(気管吸引)
- 水の入ったコップ(口腔・鼻腔吸引)
- 蒸留水の入ったコップ(気管吸引)
- アルコール綿
手順
※口腔・鼻腔吸引
- 手指衛生を実施後、患者さんに吸引の必要性を説明する。
- 自身への感染予防のためエプロンやディスポ手袋、ゴーグルを着用する。
- 吸引圧の設定
基本的には20㎪(150㎜hg)程度に設定する。(痰の性状をアセスメントし吸引圧は決めます)
鼻腔内は15cm~20cm程度の挿入長さ。
口腔内は10cm~13cm程度の挿入長さにする。
※吸引時間は10秒まで!!それ以上は粘膜損傷のリスクあり!! - 不潔にならないようにしてカテーテルを吸引チューブに接続する。
袋が張り付いて取れないときは、吸引圧の確認方法のようにすると簡単に袋がとれます! - 患者さんに声をかけて吸引を行う。
指でこよりながら引いてくると、患者さんに負担なくキレイに取れます。
一度気管に挿入した後、再び気管に挿入するのはNG!!肺炎のリスクが上がります!
とは言いつつも病棟では良く見かけますが・・・ - カテーテルを通水する。
- 片付け
カテーテルが手袋内に収まるように丸めて、裏返すようにして外して捨てる。 - 手指消毒をする。
- 患者さんに終わったことを声掛けし、呼吸状態や表情、バイタルサインを確認する。
- 記録する。
※気管吸引は別で記載させていただきます・・すみません。。。
吸引のコツ
口腔内
- 口蓋垂を刺激すると咽頭反射を誘発し、嘔吐からの誤嚥性肺炎のリスクが上がるので注意!
(食後などはやめましょう) - 挿入が難しい時は、「あー」と声を出してもらったり、バイトブロックやKポイントを刺激する。
サンジ
Kポイントは臼歯の奥から舌側に入った、内頬にあります。
鼻腔内
- カテーテルが入らないときは、反対の鼻でやると鼻出血のリスクが減り入りやすい。
- 鼻孔に入れた時に、上の方からやや下向きに挿入する。
- 患者さんにせき込んでもらい、空咳をしてもらう。
吸引時の注意事項
- 吸引時は集中しすぎず患者さんの表情や声掛けを忘れないようにしましょう。
- 繰り返しになりますが1回の吸引は10秒まで!!
まとめ
吸引という処置はとても苦しい処置です。
吸引の必要性を理解してどこまで吸引をする必要があるのか。サチュレーションモニターの数値や患者さんの呼吸状態、また看護師同士の情報共有を活用し、総合的に必要・不必要を判断してなるべく患者さんの苦痛がすくなくなるようにしていきましょう!!
侵襲が少ない療養生活になるように頑張っていきましょう!!