膀胱洗浄の理由と方法

病期の経過医療(看護)

膀胱洗浄とは

膀胱洗浄とは、膀胱留置カテーテルを留置中の患者さんに対し、生理食塩水を使用して膀胱内を洗浄することをいいます。膀胱洗浄には2つのやり方があり、1つ目は生理食塩液をシリンジで注入して洗浄を行う用手膀胱洗浄と、2つ目は生理食塩液を持続的に滴下して洗浄を行う持続膀胱洗浄があります。

かつて膀胱洗浄は、尿路感染予防を目的として行われていました。ですが、なんの根拠もない為、現在はほとんど行っていません。それどころか外界にカテーテルがさらされてしまう為感染のリスクがあります!!

膀胱洗浄はどんなときに行われる?

膀胱留置カテーテルを長期にしている患者さんは膀胱内に血塊や不純物などが溜まります。

これらが膀胱内に溜まってしまうとカテーテルの先に空いている穴に詰まり、尿が流出しなくなってしまいます。その為膀胱洗浄を行いその穴を開通させる必要があります。

ですが膀胱洗浄はあくまで医療的処置!必ずDrの指示のもと行われます。患者さんの状態によって、生理食塩液の量や環流時間が異なりますので、Drの指示どおりに実施しましょう。

持続的膀胱洗浄の方法

 感染を防ぐために必ず無菌操作で行います。

 洗浄液には、生理食塩液を使用し、量はDrの指示のもとに行います。
注入した生理食塩水の量と排出した量は必ず記録をしておきましょう。
注入した生理食塩水は尿ではないので、例えば100ml生理食塩水を注入したが、80mlしか回収しなかった場合、20mlは尿ではないので1日の排尿に換算してはいけません。

必要物品(持続膀胱洗浄用手膀胱洗浄

  • 生理食塩液(量は医師の指示による)
  • 輸液ポンプ(持続膀胱洗浄)
  • ポンプ用輸液ルート(持続膀胱洗浄)
  • 点滴スタンド(持続膀胱洗浄)
  • 防水シーツ
  • 50mlシリンジ(用手膀胱洗浄
  • 滅菌カップ(用手膀胱洗浄
  • ペアン(用手膀胱洗浄
  • 滅菌手袋
  • アルコール
  • ディスポーザル手袋
  • ビニールエプロン

手順

持続膀胱洗浄

  1. 手指衛生を実施後、感染予防のためエプロンを着用し、ディスポ手袋を装着。
  2. 生理食塩液に点滴ルートを接続し、輸液ポンプにセット。
  3. 輸液ポンプをDrの指示した速度に設定。
  4. 滅菌操作をするためディスポ手袋を外し、滅菌手袋に交換。
  5. 3wayカテーテルの洗浄用注入口に点滴ルートを接続し、生理食塩液の滴下を開始。

用手膀胱洗浄

  1. 手指衛生を実施後、感染予防のためエプロンを着用し、ディスポ手袋を装着。
  2. 尿の逆流による上行感染を予防するため、ペアンで採尿ポートと排尿バックの間をクランプする。
  3. 滅菌カップに生理食塩水を入れる。
  4. シリンジで生理食塩水を吸い、採尿ポートをアルコール消毒し注入する。
    ※注入した量をメモをして、注入量と回収量を記録する。

実施中は定期的に以下を観察し、異常があれば医師に報告します。

  • バイタルサイン(出血性ショックのリスクも考慮)
  • 患者さんからの腹部膨満感、不快感、膀胱刺激症状などの訴え
    ※特に用手の場合は、生理食塩水が引けないからといって、無理にシリンジを強く引きすぎると膀胱壁を損傷させてしまうことがあります。
  • 尿の性状(血塊の有無・混濁の程度など)、色、匂い  
  • 尿量の算出(尿量=排泄量-注入量)  尿量が注入量より少ない場合:カテーテルの閉塞やランニングチューブの屈曲や圧迫の可能性があります。
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